- ホーム
- > 有田焼について
400年以上の歴史を持つ有田焼

有田焼は日本で最初に誕生した磁器。その特徴は白磁の素地と、情感漂う染付や美しい色絵といった多彩な絵付けにあります。17世紀に入ると、有田で生産された焼物はオランダ東インド会社によって伊万里港からヨーロッパへと輸出されました。
“Imari”という名で王侯貴族たちを魅了した有田焼は、やがて憧れの対象となり、西洋の磁器文化に大きな影響を与えていくのです。当時の文様は古伊万里様式と呼ばれ、今なお世界中の愛好家から高く支持されています。

佐賀県有田町、隣接する長崎県波佐見町、この辺り一帯は肥前窯業圏として、それぞれの歴史と文化を築いてきました。通常、有田町を中心に焼かれた磁器を有田焼、波佐見町で焼かれた磁器を波佐見焼と呼びます。波佐見焼は“くらわんか碗”で象徴されるように日用食器として作られ、有田焼は「柿右衛門様式」や「鍋島様式」など独自の表現法を生み出し、国内外に大きな影響を与えました。有田、三川内、波佐見などで焼かれた肥前の磁器は、積み出しが伊万里港からなされていたことから伊万里焼とも呼ばれています。
有田焼の製作工程
-
1.磨き・洗い
陶石を機械と人の手でよく洗い、泥汚れを落とし、石に付いた鉄分をひとつひとつハンマーで取り除きます。その後、クラッシャーにかけ3〜5センチ程に砕きます。
-
2. 粉砕
4センチ前後に砕いた陶石をスタンパー(杵と臼)へ入れ約13時間粉砕し、粉末状にします。出来た粉末は、空気輸送でホッパーに貯めます。
-
3. 撹拌・水篩
貯めた粉末状の陶石をベルトコンベアで撹拌機へ投入し、水に溶かし込み、沈殿した粒の粗い石や砂を取り除きます。水に溶け込んだ泥ショウ(白く濁った細かい粒子、粘土の元)をタンクに貯蔵し沈殿させます。
-
4. 脱鉄・振動篩(不純物除去)
タンクに沈殿させた泥ショウを脱鉄機(電磁石)に通し細かい鉄分を取り除きます。その後振動篩(75ミクロンほどの細かい網)を通し、その他の不純物も取り除き、仕上げタンクに貯蔵します。
-
5. フィルタープレス(脱水)
仕上げタンクの泥ショウをフィルタープレス(圧力で脱水する機械)にかけ、板状の粘土にします。粘土としては完成で鋳込み成型や圧力鋳込みなどでは、この状態で使用されます。
-
6. 真空土練(整型・高度調整)
板状の粘土を真空土練機に投入して、陶土中の空気を抜き、硬さを調整します。円筒状になって出てきた粘土で完成です。
-
7. 成形
伝統的なろくろによる成形の他に、機械ろくろ・ローラーマシン・圧力鋳込み・排泥鋳込みなど様々な成形方法があります。
-
8. 仕上げ
成形された生地を時間をかけて乾燥させた後、カナと呼ばれる道具を使い、生地を削り、ふちや高台などの形を整えます。削り終わったら、湿ったスポンジで生地の表面をふき、滑らかにします。
-
9. 素焼き
生地を900℃前後で焼きます。生地の余分な水分が無くなり、強度が増し、絵付けや施釉が行いやすくなります。
-
10. 下絵付け
素焼きをした生地に呉須(ゴス)と呼ばれる、酸化コバルトを主成分とした顔料で絵付けを行います。手描きの他に転写や判、吹きなど様々な技法があります。
呉須は1300℃の還元焼成(酸素が少ない状態で行う焼成)を行うことで藍色に発色します。呉須のみで絵付けされたものを「染付」(そめつけ)と呼びます。 -
11. 施釉
釉薬とは焼き物の表面を覆うガラス質のことです。釉薬を一面にかけることで器の表面に光沢や色が現れ、器の強度が増します。
-
12. 本焼
釉薬をかけた生地を1300℃前後の高温で約16時間かけて焼き上げます。高温で焼成すると釉薬が溶け生地の表面がガラス質で覆われます。また下絵付けされた呉須が藍色に発色します。
-
13. 上絵付け
赤絵付けとも呼ばれています。本焼を終えた後の製品に赤・緑・黄・金などの絵具で絵付けを行います。下絵と赤絵を組み合わせた絵付けを「染錦」(そめにしき)と呼びます。
転写
絵付けの技法のひとつに転写があります。「プリント」や「印刷」と呼ばれることもあります。
転写シートを水に浸して製品の表面に貼りつけたのち、上絵窯で焼き付けます。一見、簡単そうに見える作業ですが、製品の形状に合わせてズレや切れがないよう転写紙を貼っていく作業は熟練の技術を要する作業です。 -
14. 上絵窯
上絵付けを施した製品を、上絵窯という専用の窯で700℃〜800℃で焼きます。
焼成することにより絵具が溶け製品の表面に定着します。